この物語は清洲城 信長「鬼ころし」モニターキャンペーンで書いています。
清洲桜醸造株式会社ホームページ第1話「清洲城を守る鬼」から読むと楽しめるかと思います。
鬼ころし 第28話 「決戦の拾ヶ堰」炎に包まれる里を後にした新也と梓はトンネルを抜けて古い庵をでた。
古びた長い石段を降りようとした時だった樹の上から数十人の殺気がほとばしった。
影の軍団の気配を感じて新也はバッグから軽機関銃のH&K MP5を取り出し右の腰に添え樹上を狙って撃った。
連続する軽い射撃音に伴って木の葉が舞い落ちる。着弾したと同時に悲鳴と白い灰が降ってくる。
樹上から狙う影の軍団だった、般若衆なら何のためらいもなく殺せるが殺人事件の犯人として手配されれば
襲ってくる警察官まで殺さなければ成らなくなる、それは何とか避けたいと思っている新也だった。
階段を降りきった巨大な木彫りの像がある前に数十名の機動隊が陣取っていた。
金属の盾と手には警棒を持ち後方支援に狙撃班も配備されているようだ。
前方奥まった樹上にキラリと光るスコープが新也には見える。
ハンドトーキーで声を掛けてきたのが捜査一課の但馬 雄二だ。
こいつもエリート般若衆だ、ぞっとするような低体温動物の冷たい目を持っている。
お馴染みの「お前は包囲されている、速やかに武器を捨てて投降しなさい」とまるで人間のように怒鳴っている。
新也はサンクチュアリと叫んで梓と目配せをして石段の左右に別れて樹海にジャンプした、石段に狙撃隊の撃った銃弾だけが跳ねた。
このあたりは巨木が生い茂る深い樹海である安曇野に住んでいるものすら迷う獣道。
影の軍団も追いかけてくるが新也と梓の足には到底追いつかなかった。
後を追った機動隊も、樹海で迷い、まるで方向違いの場所を捜索していた。
幼い頃から、この樹海で遊んだ新也と梓である。
二人にとっては秘密の隠れ家がこの樹海の中にある。古い小さな石仏が12体ある周りを巨木に囲まれた丸い広場
石の仏は宇宙を表していた、上から見ると丁度曼荼羅のような配置になっている
いつの頃に建造されたかすら判ってはいない。
ここなら頭上からヘリコプターが監視しても見えないだろう。
ひと際大きな樹が真ん中に聳え立っている、その樹上に隠れ家を作っていたのだ。
子供の頃から、なにか有ると必ずこの場所で待ち合わせをしていた二人だった。
大人になってもデートをするのも、この場所が二人にとって一番のサンクチュアリだったのだ。
ほとぼりが冷めるまでここで待機することにした。
梓は里の人たちの無念さを嘆いた、人の痛みを我が痛みとして感応する能力があるため苦しいのだ
背中からそっと抱きしめて梓の髪を撫でる新也。
梓の目から流れる涙が空中で細かい金色の霧になり部屋に広がり、隠れ家の窓から外に出て広場一帯を埋めた、広場がドーム状に浅黄色の光に包まれ、何処からともなく蒼白い火の玉がひとつ、ふたつと集まりはじめた
隠れ家の周りに沢山の蒼白い火の玉が集まったかと思うと一気に天空に向かって飛んでいった。
浅黄色の光は消えていた、梓はどっと倒れるように深い眠りに入った。
嵐の前の静かな夜を迎えた愛車BMW M3は無事に待避所で待っていてくれた。
常念岳から脱出した新也と梓は高速豊科インターに向かっていた。
安曇野に来ていたのを敵が知ったのは高速道路に設置されている監視カメラの映像からだろう。
山道を下って東南に進むが国道147号は検問の可能性が高いため常念岳寄りの県道25号を南下することにした。
トラックや作業車が行き交う農道は近年整備され意外と交通量は多い。
梓はいつもの元気を取り戻していた、とてもお腹が減ったようで大好物の「おやき」を口いっぱいに頬張っている。
新也は明るく笑い美味しそうに食べる梓を見るのが大好きだった。
横の梓に目をやって前方を見ると一台のパトカーが止まっていた。
急ブレーキをかけて止まった新也、警察官らしき男が近づいてくる。
「先輩!大丈夫っすか?」なんと後輩の刑事「橋本泰三」だった。
「俺がここを走るのを良くわかったな」
「へへぇー そりゃ俺と先輩の仲ですもん、当然です!」と自慢げに喋り直ぐに警察官らしい凛々しい顔に変わった。
「豊科の高速入り口はやばいっす!機動隊どころか自衛隊まで投入しています」
「おいおい!テロリストじゃないんだから大げさにも程があるだろうに」
「さぁお上からのお達しなんで俺たち下々にはわからんですね」と泰三
「俺の用意した覆面パトカーで逃げてください!俺は先輩の車で逃げ回りますから、ちょっと面白そうだし」
「こらこら!遊びじゃないんだぞ、頼むから俺の車壊すんじゃないぞ!それに・・・死ぬなよ」
泰三は首をすくめながら、車に寄りかかっている梓にウィンクをしてBMWの運転席に収まった、軽く敬礼をしてBMWを豊科インターに向けてスタートした。
しかし急にブレーキをかけて勢いよくバックして戻ってきた。
運転席の窓を開けて紙袋を梓に投げる「土産のかりんとう饅頭です!食ってください」と笑う。
「きゃははは」と大きな口を開けて笑う梓の笑い声が拾ケ堰の水面に波紋を作ったように見えた。
泰三が出発した後、覆面パトカー・フェアレディZ Version STに乗った新也は警察無線のスイッチを入れた。
・・・・・・犯人らしき車発見。豊科インター入り口から北方面に逃走中・・・・・
どうやら泰三は北方面に逃げて新也たちを援護してくれるようだ。
エンジンをかける、およそ警察の車とは思えないエンジン音だかなりのハイチューンをしているようだ。
このままレースにでても遜色ないほどのチューンアップで頼もしさを感じる新也だった。
警察の注意を引いている間に広域農道を南下するフェアレディZ Version ST
左手には柏矢町が見える頃警察無線から・・・・・・犯人と思われるBMWが大峰峠付近で突如爆発 原因不明・・・・と流れてきた。
新也は泰三の名前を口に出して叫んだ。敵は、おそらく自衛隊の攻撃ヘリAH-1ヒューイコブラからのミサイル攻撃であろう。
ベトナム戦争でも活躍した起動性能・攻撃力ともに最強の攻撃型ヘリコプターである。
新也たちが拾ケ堰の神橋付近で急に上空からフェアレディZ Version STが激しい機銃攻撃を受けた。
真っ黒な攻撃ヘリAH-1ヒューイコブラの20mm3砲身バルカン砲だ。
新也はすぐさま車を止めて諏訪神社に逃げ込んだ、フェアレディZ Version STは19連装70mmロケット弾で粉々に吹き飛んでしまった。
攻撃ヘリAH-1ヒューイコブラから降りてきた男はなんとエリート般若の但馬 雄二だ。
同時に数台の迷彩色のハマーが到着、影の軍団が降りてくる。
エリート般若「但馬 雄二」と影の軍団に囲まれた般若ハンター新也と梓の命運は?
明日 鬼ころし第29話 「安曇野に誓う」
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